私がコンピュータを初めて触ったのは、中学生で、富士通のFM7やFM8が最初であった。家にはゲーム機もパソコンもなかったので、そのFM8でF-BASICを使って線絵を書くのがとっても楽しかったのを覚えている。

その後は高校時代に、X68000を購入してもらい、ソフトバンクのOh!Xを見ながら、アッセンブラ、マシン語、果ては16進数直打ちなどという、今では考えられない入力を経験した。16進数直打ちはちょうど紙媒体でパソコン通信をしているようなものである。16進数を打ち終わると圧縮ファイル(ZIPファイル)の出来上がりである。それを解凍をするとまた開発ソフトやドライバーが手に入るという寸法だ。この経験で、大戦略の兵器データを印刷して、パラメータの配列を解読し、書き換えて最強軍団を作って遊んでいた。戦闘機をなぎ倒す歩兵の機関銃とか。戦闘機よりもたくさんのヘックスを移動できる歩兵とか。ゲームをすることよりも、人が作ったものを勝手に作りかえれることがとても面白い経験だった。

Oh!Xは、NECのPC-98系の雑誌違い、本の3分の1程度のページを割いてプログラムが載っていた。アッセンブラ、マシン語、果ては16進数直打ちのほか、X-BASICやC言語などが掲載されていた。バックナンバーなども取り寄せ、掲載されていたものは一通り打ち込んだと思う。X-BASICを使った音楽もよかった。キューピー3分クッキングやYMOのライディーンは打ち込んだものを、よく再生していた。自分で楽譜を買ってきてX-BASICで打ち込んだこともある。世の中にMIDIというのがあってきれいな音がでるだとか夢のような話があったが、さすがに財布は空っぽで手に入れることはなかった。

X68000も大学のころになると下火になり、X-BASICがNECのPC-9801などの国民機で使っていたN-BASICと少し書式が違ったので、N-BASICの本を見ながら、X-BASIC用に書き換えて動かすが楽しかった。

とにかくパソコンの基礎は、本当に高い買い物あったが、シャープのテレビ事業部が作ったX68000「夢の続きを語ろうよ」によって培われた。PC-9801を買っていたら多分ここまで面白く感じることはなかっただろうと思う。